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気が付いた方も多いと思いますが、 先の2回の岩絵エントリー、 パスーの岩絵では、角と体の大きさでアイベックスの雌雄が描き分けられていましたが、 ギルギットの岩絵では、角や体の大きさに加え「足」の数も違っていました。 メスは4本足なのに対して、オスは「5本足」。 もちろん、そのうち1本は足じゃないわけですが、ま、「足」と表現して進めます(笑)。 ちなみにパスーのほうでは、 アイベックスはざっと見たところ雌雄関係なく4本足ですが、 人間が「3本足」になってます。つまり、描かれてる人間は男性。 身近にいる4本足の動物は飼い犬・飼い猫くらい、という環境で育った私としては、 そのへん(「余計」な1本)は省略してもいいんじゃないの(笑)?って思うし、 これを読まれてる方の多くも同じ感覚なのでは と思うのですが… でもそう思うのってたぶん、環境の産物なんですよね。 それと同じく、オスの「足」を一本多く表現するのもこれまた環境の産物。 こちらは埼玉県熊谷市出土の埴輪の馬(重要文化財・6世紀)。 この埴輪、出来のよさと表情のかわいらしさで個人的に大好きなんですが、 今回はそれは全然関係なく(笑)、性別表現の方です。 かわいらしいこの子は、男の子。 暗くなっててわかりにくくはありますが、「五本目の足」がちゃんと表現されてます。 神社の狛犬でも、こんな風にオスを表現したものがたまにあります。 で。 前置きが長くなりましたが、 ギルギットの「5本足」で表現される動物の画像を見ていて、 ふと、普賢菩薩が乗っている白象のことを思ったのでした。 普賢菩薩の乗り物は、白象。 この白象、法華経によると、 6本の牙があって、「七支」で地を支える(?← 使われてる字が今の辞書に存在しないので)。 で、「その七支それぞれの下から蓮華を生じる」。(以上、非常に大雑把な私訳です) 私たちが目にする法華経は、 古代サンスクリット語で書かれたものを漢語訳したもの。 その内容を知るためにはそこからさらに日本語に訳することになるわけで、 この「七支」も日本語訳を見ると「七つの足」とされてたりします。 (今回このエントリーをするに当たって、ネットで検索しただけで書いておりますので、間違いがあるかもしれませぬ が) こちらが白象に乗った普賢菩薩 (国宝 鳥取県豊乗寺/平安時代12世紀)。 足元部分。 4本の足の下と、鼻の下、尻尾の下、それぞれに蓮華が表現されています。 蓮華は合計6つ。 法華経には「七支」それぞれに蓮華が生じる、 と されているわけですが、ここでは蓮華は6つしか描かれてません。 また別の、象に乗った普賢菩薩(重要文化財 奈良国立博物館/平安時代12世紀)。 上と同じような時代のものです。 白象。 4本の足それぞれと、鼻の下、 そしてこちらでは、画面中央下の方に小さい蓮華がもう1つ。 尻尾の下に確認できないので、こちらもやはり蓮華は6つですが、 2つの普賢菩薩の絵両方をもとに考えると、 七支とは、鼻、尻尾、そして「五本の足」ということなわけです。 サンスクリット語から漢語に翻訳するに当たって、 なぜ「七つの足(という意味の直接的な漢語)」としないで、「七支」としたのか、 なんとなーくワタシ的にはわかった気になるわけです。 で、ここまでは、 「そんなまわりくどい説明しなくてもそんなことはわかってるんだ」って話なのですが、 岩絵での動物表現と併せて考えてみると、 普賢菩薩の乗る白象を「六支」ではなく「七支」としたところに、 経典が書かれた当時の当たり前すぎる現地の感覚が、垣間見えるわけです。 普賢菩薩は、仏の衆生教化を助ける存在なので、 その偉大さの延長で、その乗り物も、 普通では存在しないような立派な姿の象である必要があるわけです。 だから、体が白かったり、牙が6本だったり、の設定なわけです。 (絵では片側に3本ずつで表現されます) 動物の世界では多くの場合、オスのほうがメスよりも体が大きく、 また、体の大きさだけではなく、 オスのほうが、見た目に美しかったり立派だったりします。 つまり、大きくて立派な牙を持ち、 大きくて立派な体を持つのは、当然オスの象、となるのです。 あれだけ単純であるにもかかわらず、 大きさなどの特徴で雌雄についてはしっかり描き分ける岩絵の感覚をみると、 普賢菩薩の乗る象 = 大きくて立派な象 = 当然オスの象 というわけです。 「六支」、つまりメスまたは中性、ではダメなわけです。 大きくて体も牙も立派な象はオス、という認識なんですね。だから「七支」。 古代サンスクリット語で経文が書かれた時代や場所を共有していない上に、 直接に当時の大元の経典に触れることも難しい環境なわけで、 ニュアンスなどが伝言ゲーム的に変わってきたりするものです。 日本では仏像・仏画は、中性的に表現されるものが多く、 そうしたものを普通に目にしていると、性別視点を意識することもなかったので、 普賢菩薩の乗る白象が、なんでさらっと流せる中性的な「六支」じゃなくて、 ある意味生々しい「七支」なんだろうか、って引っかかってたんですが、 岩絵の「5本足」表現を見て、氷解しました。 動物と共に生活する環境、 周りに人がいるのと同じくらい、 切っても切れないくらい身近にいろいろな動物がいるような環境の世界では、 オス・メスの区別にこのあたりの表現をするのは生々しくもなんでもない「当然」の感覚で、 逆に、特別なシーン以外では動物との接触がなくなってくるような、 ある意味洗練された環境になってくると、 こうした表現を、「直接的過ぎ」「生々しい」って捉えるようになってきて、 敢えてそうした表現はしなくなってくる、そんな感じなのかな。 だから、優美な平安貴族の社会の中で生まれた上の2つの普賢菩薩像では、 象の足元の蓮華の数を厳密に追わなくなってたり、 「五本目の足」の表現を入れるにしても、かなり抽象化して、 なおかつ付属の蓮華も目立たなくしてる、そんな印象を受けるのでした。 手がたくさんあったり顔がいくつもある神仏が普通にいる地域、 もしかしたらそもそもは素直に「七支」の「支」も手足を意味する「肢」と同義の用法で、 当初は本当に「7本足の象」という設定だったのかもしれませんが、 そしてそれが場所や時代が変わるうちに 「5本足」と鼻と尻尾の解釈に変わっていった可能性もありますが、 まあとにかく私は、 岩絵の描かれた時代、そして、仏経典に白象に乗る普賢菩薩が誕生した時代には、 今と違って、動物の雌雄に伴う特徴は、フィクションには出来ないくらい 当然過ぎるほどに人々に共有されていた感覚だった、そんな社会だった、 そんな当時を垣間見た気分だったのでした。 2つのランキングに参加中。 クリックするとランキングが上がる仕組みです。クリックしてね~^^ にほんブログ村 旅行・観光 ブログランキングへ
by xiaokobamiki
| 2013-05-31 02:15
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